研究概要 |
1.酸化LDLによるトロンボモジュリン発現調節機構の解析 内皮細胞のトロンボモジュリンの発現は酸化LDLにより減少し、単球/マクロファージ系細胞(THP-1細胞)のトロンボモジュリンは逆に増加する。いずれの場合も酸化LDL中の酸化された脂質成分にその働きがあることが判明した。更に、内皮細胞に作用してTMを減少させる酸化LDL中の物質はリン脂質の一種であるPAPCの酸化物であることが判明した。現在、このリン脂質がTM転写レベルで減少させる分子生物学的な機序を検討中である。 2.可溶性トロンボモジュリンの細胞増殖作用に関する研究 可溶性トロンボモジュリンは細胞増殖作用を有する。その際には特異的受容体(結合蛋白)と結合することが必要であり、その受容体の性質はEGF受容体と類似するが、EG授容体そのものとは異なる。今年度は、可溶性トロンボモジュリンを培養ヒト大血管由来平滑筋細胞に作用させ、どの様な物質の動きが認められるのかをマイクロアレイ法を用い、約8000の物質について検索した。その結果、insulin-like growth factor-binding protein4, 5, 7, endothelial differentiation-related factor 1, mitogen-activated protein kinase 3などを含む200弱の物質のmRNAレベルの有意な増加あるいは減少が認められた。
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