1)平成14年度までの結果 a)PPAR-γにおけるドミナントネガテイブ作用およびN端の役割 以前、我々はPPAR-γのDNA結合領域を含んだN末端を持ったものとCoR-boxを含んだTRのリガンド結合領域のキメラ遺伝子を作製し、野生型のPPAR-γに対してドミナントネガティブ作用を確認した。昨年度は、このキメラ蛋白およびインスリン抵抗性患者に認められたPPAR-γのドミナントネガティブ変異体P467において、N端欠失によリドミナントネガティブ効果はさらに増強することを見いだした。 b)PPAR-γのドミナントネガティブ作用におけるコファクターの関与 PPAR-γとTRのキメラ遺伝子において、TRのCoR-boxの変異体でドミナントネガティブ作用が消失したことより、このキメラ蛋白のドミナントネガティブ作用にはCoR-boxが必須と考えられた。また、PPAR-γとTRのキメラ蛋白、およびPPAR-γのドミナントネガティブ変異体ともに、N端欠失によりコリプレッサーとの結合が増強することを、ゲルシフトアッセイおよびtwo hybridアッセイ法により確認した。現在、PPAR-γのコレプレッサーとの結合部位について検討中である。 2)現在の課題 現在PPAR-γとTRのキメラ蛋白、あるいはドミナントネガティブ変異体のPPAR-γをCre/lox P遺伝子に組み込んだプラスミドを作製中である。今後このプラスミドを3T3-L1細胞に導入し、脂肪細胞への分化の途中でCre遺伝子を発現させ、分化の各段階でPPAR-γの構能を減弱させ脂肪細胞の形熊および機能の変化を確認する。以上により脂肪細胞の分化の各段階でのPPAR-γの果たす役割を確認し、インスリン抵抗性にどのように関与するかを検討する予定である。
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