1)これまでの結果 a)PPAR-γにおけるドミナントネガティブ作用およびN端の役割 PPAR-γのDNA結合領域を含んだN末端とCoR-boxを含んだTRのリガンド結合領域のキメラ遺伝子を作製し、野生型のPPAR-γに対してドミナントネガティブ作用を確認した。また、このキメラ蛋白およびインスリン抵抗性患者に認められたPPAR-γのドミナントネガティブ変異体P467Lにおいて、N端欠失によるドミナントネガティブ効果の増強を見いだした。 b)PPAR-γのドミナントネガティブ作用におけるコファクターの関与 PPAR-γとTRのキメラ遺伝子において、TRのCoR-boxの変異体でドミナントネガティブ作用が消失したことより、ドミナントネガティブ作用にはCoR-boxが必須と考えられた。また、PPAR-γとTRのキメラ蛋白、およびPPAR-γのドミナントネガティブ変異体ともに、N端欠失によりコリプレッサーとの結合が増強することを、ゲルシフトアッセイおよびtwo hybridアッセイ法により確認した。 2)これからの課題 現在、PPAR-γとTRのキメラ蛋白、あるいはドミナントネガティブ変異体のPPAR-γをCre/lox P遺伝子に組み込んだプラスミドを作製中である。今後、このプフスミドを3T3-L1細胞あるいはマウスに導入し、脂肪細胞への分化の途中でCre遺伝子を発現させ、分化の各段階でPPAR-γの機能を減弱させ脂肪細胞の形態および機能の変化を確認する。以上により脂肪細胞の分化の各段階でのPPAR-γの果たす役割を確認し、インスリン抵抗性に関与する機序を検討する予定である。
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