研究概要 |
1.動物モデルでの検討 前年度MMP-2遺伝子欠損マウス(MMP-2 KO)において野生型と比較し総頚動脈結紮モデルにおいて内膜肥厚が抑制されることを報告した。H14年度は以下の事項を明らかにした。 (1)総頚動脈結紮後、経時的に頚動脈でMMP-9,MMP-2の発現が増加した。(MMP-9は結紮後3日目にピークを認めた後経時敵に減少した。MMP-2は結紮後1週間後に増強し、以後4週まで発現が増加し続けた。) (2)免疫組織学的検討ではMMP-9の発現は主に血管外膜のCD-45 positiveな白血球に認められ、MMP-2は初期には血管中膜、内膜肥厚組織では内膜肥厚部に発現を認めた。 (3)mRNAの発現を検討したところMMP-9はMMP-2 KOで野生型に比較して発現が増強、一方TIMP-1,-2はMMP-2 KOで発現が野生型に比べ減少していた。一方MMP-3の発現は野生型、MMP-2 KOとで差を認めなかった。 2.In vitroでの検討 野生型、MMP-2 KO大動脈より血管平滑筋細胞を培養系に移し、遊走、浸潤、増殖に関して比較した。 (1)両平滑筋細胞の遊走能には差を認めなかった。 (2)マトリゲルを介した浸潤能はMMP-2欠損平滑筋細胞において野生型由来平滑筋細胞に比較し著しく低下していた。 (3)増殖能は両平滑筋細胞に差を認めなかった。 昨年度の成果と今年度の結果より、MMP-2は中膜平滑筋細胞の内膜への浸潤を抑制し、内皮障害後の内膜肥厚(血管リモデリング)に重要な役割を果たすことが明らかとなった。
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