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2001 年度 実績報告書

カルシウム/カルモジュリンによる膵B細胞死の機序の解明と制御

研究課題

研究課題/領域番号 13671183
研究機関名古屋大学

研究代表者

仁木 一郎  名古屋大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (10262908)

研究分担者 千田 隆夫  藤田保健衛生大学, 医学部, 教授 (10187875)
キーワード2型糖尿病 / カルモジュリン / トランスジェニックマウス / アポトーシス / インスリン / 膵B細胞 / スルホニル尿素
研究概要

本研究課題の第1年目では、膵B細胞特異的カルモジュリン過剰発現トランスジェニックマウスの糖尿病モデルとしての評価と、その膵島における膵B細胞死の機構解明に成果が見られた。膵島において約2倍のカルモジュリンを発現するこのトランスジェニックマウスでは生後早い段階から低インスリン血症を伴う高血糖が見られ、過食、尿量および尿糖の著増を伴う典型的な糖尿病状態を長期間にわたって示す。膵島では免疫学的な機序を介さない膵B細胞選択的な脱落が観察された。今年度の研究で、この高血糖の発症に先立って膵B細胞にアポトーシスが起こることが光顕および超微形態学的に証明された。膵B細胞のアポトーシスがこのモデル動物の膵組織切片中に見いだされる確率は極めて低いが、経口血糖降下剤であるトルブタミドの投与によってアポトースが増悪することがわかった。細胞外のCa^<2+>流入によってインスリン分泌を増やし血糖降下をもたらすトルブタミドが膵B細胞のアポトーシスを惹起するという実験結果は、膵B細胞をターゲットとしインスリン分泌を促進することに焦点をあてて行なわれてきた2型糖尿病における治療の問題点を指摘する重要な知見である。また、このモデルマウスと近交系マウスとのF1を作成し糖尿病発症の時期を検討したが、発症は早くなる傾向にあった。
私たちはこれまでの研究で、インスリン分泌過程における開口放出以前のステップが細胞外Ca^<2+>の流入に依存せず調節されていることを示してきた。そこで、本モデル動物における糖尿病の発症を遅延させるには、開口放出上流の分泌段階を活性化する薬理学的および生理学的な物質を用いて膵B細胞のカルシウム負荷を最小限に留め、この細胞を庇護する可能性を検討中である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (4件)

  • [文献書誌] Niwa T, Fukasawa T, Yu W, Nimura Y, Senda T, Ohgawara H, Niki I: "Characterization of secretory and morphological properties of primary cultured endocrine cells from porcine pancreata"Pancreas. 22. 135-140 (2001)

  • [文献書誌] Niwa T, Nimura Y, Niki I: "Lack of effects of incretin hormones on insulin release from pancreatic islets in the bile duct-ligated rats"Am J Physiol. 280. E59-E64 (2001)

  • [文献書誌] Niki I, Senda T: "Regulation of insulin release at pre-exocytotic stages of the secretory machinery"Current Medicinal Chemistry. (印刷中). (2002)

  • [文献書誌] 仁木一郎: "分子糖尿病学の進歩 2002, プロテインキナーゼによるインスリン顆粒動態の制御."(印刷中). (2002)

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公開日: 2003-04-03   更新日: 2016-04-21  

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