研究課題/領域番号 |
13671187
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研究機関 | 岡山県立大学 |
研究代表者 |
井原 裕 岡山県立大学, 保健福祉学部, 助教授 (50322160)
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研究分担者 |
長嶋 一昭 京都大学, 医学研究科, 助手 (40324628)
黒瀬 健 京都大学, 医学研究科, 助手 (90264374)
笹川 貴代 岡山県立大学, 保健福祉学部, 講師 (10254567)
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キーワード | 2型糖尿病 / 酸化ストレス / 膵β細胞 / インスリン / 転写因子 / 遺伝子変異 / TGF-β |
研究概要 |
2型糖尿病の膵β細胞で特異的に発現が変化する遺伝子を単離するため、2型糖尿病モデルGKラットおよび対照Wistarラットより膵ラ氏島を単離し、これよりcDNAを合成し750通りのprimerの組み合わせによりPCRを行い、自動DNAシークェンサーを用いた蛍光differential displayを施行した。その結果、GKラット膵ラ氏島に特異的に発現量が変化する遺伝子(DNA断片)を33個単離した。このうち、22個の遺伝子はGKラットでの発現量が増加しており、11個は減少していた。単離した遺伝子を既存のDNAデータベースと比較したところ14個は既知であり19個は未知であった。既知のもののうち、GKラット膵ラ氏島で発現量が増加しているTSC-22(TGF-β-stimulated clone22)はTGF-βで誘導される蛋白であり酸化ストレスと関連している可能性が高く、またロイシンジッパー領域を持つ転写因子と考えられているがその機能については不明であるため、TSC-22に注目した。インスリンプロモーター領域を導入したルシフェラーゼ発現ベクターをマウスインスリノーマ由来細胞株MIN6に遺伝子導入し、さらにTSC-22発現ベクターを構築しこの細胞株に遺伝子導入し、TSC-22のインスリン転写活性への影響を検討したところ、TSC-22はインスリンの転写活性を58%に抑制した。deletion解析ではインスリンプロモーターの-170から-88の領域にTSC-22が作用し転写活性を抑制することが明らかとなった。TSC-22の遺伝子構造を決定したところTSC-22は3exonで構成されていた。2型糖尿病患者におけるTSC-22遺伝子変異を検討し、5カ所の変異を同定したが2型糖尿病との関連を認めず、TSC-22の上流シグナルが重要であると考えられた。さらに、単離した遺伝子群から酸化ストレスによる発現調節を受けているものを同定するため、過酸化水素負荷を行ったMIN6で発現が変化するものを、今回単離した遺伝子群の中から同定し全長のクローニングを行っており、これらの機能解析を予定している。
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