研究課題/領域番号 |
13671190
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
山縣 和也 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (70324770)
|
研究分担者 |
上中 理香子 大阪大学, 医学部・附属病院, 医員
沖田 考平 大阪大学, 医学部・附属病院, 医員
宮川 潤一郎 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (00127721)
|
キーワード | 糖尿病 / MODY / インスリン / 転写因子 / HNF-1 / 増殖 |
研究概要 |
我々は膵β細胞に発現している転写因子であるhepatocyte nuclear factor-1α(HNF-1α)の遺伝子異常がそれぞれMODY3の原因であることを明らかにした(Nature 1996)。HNF-1αの異常は解糖系のシグナル障害をきたすことが報告されているが、HNF-1αが膵β細胞の分化・増殖に影響を及ぼすか否かについては不明である。ヒトHNF-1α遺伝子異常で最も頻度の高いP291fsinsC変異はdominant negative作用を有していることを我々はすでに明らかにしている。そこで、この変異体を膵β細胞特異的に過剰発現するトランスジェニックマウスを作製し、膵β細胞におけるHNF-1α活性を抑制することが膵β細胞に与える影響について検討した。 変異体HNF-1αトランスジェニックマウスは、ヒトMODY3患者と同様に、若年発症するインスリン分泌不全型糖尿病を発症した。組織学的な検討の結果、トランスジェニックマウスの膵島構築に異常が認められ、膵β細胞数は対照コントロールに比して著明に減少していた。またBrdUを用いた膵β細胞増殖能について検討したところ、変異体HNF-1α発現膵β細胞の増殖能は有意に減弱していた。一方、トランスジェニックマウス膵ではアポトーシスの亢進像は観察されず、β細胞数の減少は増殖の異常に基づくものと考えられた。さらに、トランスジェニックマウス膵においては、膵島構造の形成に重要であると考えられる接着因子であるE-cadherinの発現が低下していた。HNF-1αは正常な膵β細胞の増殖や膵島構造の形成に重要であることが判明した。
|