研究課題/領域番号 |
13671195
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
豊永 哲至 熊本大学, 医学部, 助手 (60295128)
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研究分担者 |
荒木 栄一 熊本大学, 医学部, 教授 (10253733)
宮村 信博 熊本大学, 医学部附属病院, 講師 (40274716)
西川 武志 熊本大学, 医学部, 助手 (70336212)
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キーワード | 糖尿病性合併症 / 酸化ストレス / ミトコンドリア / トランスジェニックマウス / マンガネーゼスーパーオキサイドジスムターゼ / 8-ハイドロキシデオキシグアノシン |
研究概要 |
申請者らは糖尿病血管合併症発症機序として「高血糖によるミトコンドリア電子伝達系からのスーパーオキサイド過剰産生」の意義を提唱しているが、この仮説を生体内で証明すること、また、この仮説に基づく治療の可能性を検討することを目的として、本年度は以下の1,2を行った。 1.マンガネーゼスーパーオキサイドジスムターゼ(MnSOD)トランスジェニックマウス開発:内皮細胞に特異的に発現しているアンギオポイエチン受容体のプロモーターであるTIE-2プロモーター、およびヒトMnSOD遺伝子を組み込んだコンストラクトを作製した。TIE-2プロモーターはThe University of Texas Southwestern Medical CenterのThomas N. Sato教授より提供いただいた。このコンストラクトを発現させた細胞においてはMnSODの過剰発現が確認された。現在、このコンストラクトを導入したMnSODトランスジェニックマウスの作製を行っている。完成後は、MnSODトランスジェニック糖尿病マウスおよび対照糖尿病マウスで、リアルタイムRT-PCR法により糖尿病性合併症での増加が予想される細胞外基質の4型コラーゲン、ファイブロネクチン、ラミニンB1、B2 mRNAの組織での発現量を解析する予定である。 2.糖尿病患者における合併症進展度と細胞内酸化ストレスの関連の検討:細胞内酸化ストレスマーカーである尿中8-ハイドロキシデオキシグアノシン(U8-OHdG)はヘモグロビンAlc高値群、糖尿病性網膜症を有する群、尿中アルブミン排泄量高値群、平均頸動脈内膜中膜複合体肥厚度(mean IMT)高値群、フラミンガムリスクスコア高値群でいずれも高値であった。さらに、長期の厳格な血糖コントロールによる酸化ストレス抑制効果を検討する目的で熊本スタディ患者において検討したが、スタディ10年後には従来インスリン療法群では強化インスリン療法群に比し、mean IMT、U8-OHdGは高値であった。結論として糖尿病性大血管および細小血管合併症の発症と細胞内酸化ストレスの関連が示され、細胞内酸化ストレス増加の糖尿病性血管合併症発症・進展における意義が示唆された。
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