これまで分泌型アルカリフォスファターゼをレポーターとして培養膵β細胞におけるインスリンプロモーター活性のアッセイを行っていたが、感度が十分でないためルミノメーターを購入し、ラットインスリンプロモーターにルシフェレースをレポーターとしてつないだベクター(RIP-luc)を新たに作り直した。トランスフェクション効率のコントロールとしてCMVプロモーターでコントロールされるβガラクトシダーゼのベクターを用いた。HNF4α遺伝子発現ベクターをRIP-lucとともにトランスフェクトすると用量依存的にインスリンプロモーター活性を抑制した(2001年度日本糖尿病学会で発表)。インスリン抵抗性と関係しうる転写因子として膵β細胞で発現しているフオークヘッド転写因子のFKHRとperoxisome proliferator-activated receptor γ(PPARγ)について検討した。FKHRはインスリン作用で仰制され、優性活性型変異体はインスリン抵抗性を生じる可能性がある。これをトランスフェクトするとインスリンプロモーター活性は抑制された(2001年米国糖尿病学会で発表)。一方、インスリン抵抗性患者から発見されたPPARγの優性抑制型変異体をトランスフェクトするとインスリンプロモーター活性は増強した。インスリン抵抗性患者の高インスリン血症の発現に関与している可能性がある。
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