インスリン抵抗性患者から発見されたPPARγの優性抑制型変異体(P467L)のβ細胞機能および全身でのインスリン抵抗性に与える影響を検証するため、PPARγの優性抑制型変異体を発現するトランスジェニックマウスの作製を試みた。ベクターの構築にはCre-loxPシステムを利用しており、Creリコンビネースの作用でネオマイシン耐性遺伝子が切り取られると変異PPARγが発現する計画である。昨年来のインジェクションにより生まれたマウス約100匹について切断した尾からDNAを抽出した。このDNAをテンプレートにベクターに用いたCAGプロモーターのプライマーでPCRを行い、ベクターの組み込みを確認した。その結果ベクターを組み込んだマウスが3系統得られた。このマウスと通常のマウスの掛け合わせにより、変異遺伝子を受け継いだ第2世代マウスが2系統から得られた。PCR産物の電気泳動像の濃さで見る限り、第1世代のマウスに組み込まれたベクターのコピー数よりも少ない印象であった。現在第2世代マウスどうしの掛け合わせによりトランスジーンをホモに持つマウスを作製中である。またネオマイシン耐性遺伝子の発現を確認するため採血を行っている。血球での発現が認められない場合、肝臓、膵臓等で検討する。発現が確認されればCreマウスとの掛け合わせにより変異PPARγ遺伝子発現の効果を検討する。Creマウスの供与は大阪大学の宮崎純一教授に依頼する予定である。
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