研究課題/領域番号 |
13671207
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
小路 眞護 久留米大学, 医学部, 講師 (10281528)
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研究分担者 |
香野 修介 久留米大学, 医学部, 助手 (60268943)
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キーワード | 低血糖ラット / 低血糖の急性適応 / 低血糖の慢性適応 / モノカルボン酸トランスポーター / グルコーストランスポーター |
研究概要 |
電位感受性色素を用いた光学的測定法ならびに薬理学的、電気生理学的手法による実験をおこなった。コントロールラット新鮮脳薄切片を前もって低グルコース液に暴露させると、非暴露脳切片に比し、再度の低グルコース液による神経活動性変化は起き難くなるが(低血糖への急性適応)、この現象はモノカルボン酸トランスポーター(MCT)阻害剤存在下にても同様に見られた。しかし、コントロールラット脳切片において、低グルコース液投与後通常グルコース液再投与での神経活動性抑制のリカバリー時間はMCT阻害剤投与下にて延長した。また、慢性低血糖ラット、急性低血糖ラットの脳切片はコントロールラットに比し、低グルコース液投与による神経活動性抑制は減少したが、慢性低血糖ラットにおいて、より顕著であり(慢性適応)、MCT阻害剤の前暴露により低グルコース液に対する神経活動性抑制の減少は部分的に解除された。以上より、急牲低血糖では、MCTがその神経活動性抑制からのリカバリーに関与し、慢性低血糖では、MCTが、再度の同様な低血糖状態で神経活動性抑制を呈さない低血糖への慢性適応状態に関与することが示された。次にノーザンブロッティング法を用い、コントロールラット、急性低血糖ラット、慢性低血糖ラット(各々N=3)の全脳からのMCT1、MCT2、GLUT1、GLUT3のRNA発現量の検討を行った。急性、慢性低血糖ラットともコントロールに比し、GLUT1、GLUT3の遺伝子レベルでの発現量は増加する傾向にあった。MCT1、MCT2の発現量に関しては、慢性低血糖ラットにおいてコントロールに比し有意に増加していたが、急性低血糖ラットでは、増加傾向を示した程度であった。これらの成績は光学的、電気生理学的手法により得た成績に矛盾しないものであった。今後は、例数を増やすと共に、各トランスポーターの蛋白量の測定とその評価、及び、Glucose regulated peptide等のストレス蛋白の関与を解明していく予定である。
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