研究概要 |
【目的】GAD65抗体は1型糖尿病で高頻度に検出されるが、そのエピトープは不明である。本研究では急性発症および緩徐進行1型糖尿病(slowly progressive IDDM(SPIDDM))例のエピトープ、および経時的な変化(epitope spreading)を検討した。 【対象および方法】GAD67およびGAD65の4種のキメラ[GAD65(1-244)AA/GAD67(253-369)/GAD65(360-585):GAD-A, GAD65(1-244)/GAD67(253-451)/GAD65(443-585):GAD-D, GAD65(1-442)/GAD67(452-594):GAD-E, GAD65(1-83)/GAD67(89-593):GAD-N]クローンを作成し、in vitro transcription/translationにより^<35>S標識-GADキメラ分子を作成し、63例のGAD65抗体が陽性の患者血清[急性発症1型糖尿病46例およびSPIDDM17例]との反応を免疫沈降法およびwestern blotting法により検討した。 【成績】急性発症1型糖尿病血清とキメラGAD-Aとの反応は46例中38例が陽性であったのに対し、SPIDDMの全例が反応した。キメラGAD-Dとは急性発症1型糖尿病例で全例が反応せず、SPIDDMでは全例が反応した。キメラGAD-Eとの反応はいずれのタイプでも全例が陽性を示した。GAD-Nとは急性発症1型糖尿病では全例が陰性であったがSPIDDMの10例中9例が陽性であった。このエピトープはlinear epitopeであった。経時的なエピトープの変化(epitope spreading)はいずれの病型でも5年間の観察ではみられなかった。 【結論】(1)急性発症1型糖尿病においてはその大部分のエピトープがGAD65分子の中心部分に存在する。(2)SPIDDMではGAD65分子のN端側17〜51AAにもlinear epitopeが存在する。(3)epitope spreadingはみられなかった。
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