研究概要 |
【目的と方法】乳房温存療法において乳管内進展・多発病巣を術前に正確に捉えることは、適応や切除範囲を決定する上で重要である。平成13年は新たなmodalityとして3-D CTと3-D MRIによる術前の病巣評価を行い、病理検索結果と対比させてその整合性を比較した。本年度はさらに症例を重ねるとともに、画像上false positiveとなった病巣の病理学的特徴について検討した。 【結果】1)症例は52例に増え、このうち病理診断にて2cm以上の乳管内進展を認めたのは17例でそのSensitivity, Specificity, AccuracyはCT65%, 97%, 87%、MRI71%, 94%, 87%であった。2)病理診断にて実際に多発病巣を認めたのは8例でそのSensitivity, Specificity, AccuracyはCT63%, 93%, 88%、MRI 75%, 80%, 79%であった。3)高度な乳管内進展をCT, MRIともに捉えられたのは11例で、8例がcomedo type、histological gradeは9例がII以上であった。4)乳管内進展病巣に関する画像上のfalse positiveはCT、MRIともに1例ずつで、これらは同一症例であり、病理診断は僅かなPDWAのみであった。5)多発病巣に関する画像上のfalse positiveはCT 2例、MRI 6例で、このうち局在が確認された病変の病理像は(sclerosing)adenosis, PDWAであった。【考察】高度な乳管内進展病巣の描出感度においては3-D MRIが3-D CTよりもやや優れていたが、多発病巣に関しては3-D MRIで特異度が劣り、overdiagnosisとなる傾向が認められた。画像上false positiveとなった病巣の病理診断は、(sclerosing)adenosis, PDWAが大部分を占め、増殖性病変と癌病巣との鑑別のための至適撮影条件の追求が必要と考えられた。
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