研究分担者 |
中西 加寿也 千葉大学, 医学部附属病院, 講師 (80272326)
志賀 英敏 千葉大学, 医学部附属病院, 講師 (20282478)
平澤 博之 千葉大学, 大学院・医学研究院, 教授 (80114320)
仲村 将高 千葉大学, 医学部附属病院, 助手 (30315436)
松田 兼一 千葉大学, 医学部附属病院, 助手 (60282480)
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研究概要 |
本研究は,敗血症や全身性炎症反応症候群(SIRS)の病態に重要な役割を演じているサイトカインを血中から選択的に除去できる吸着剤を開発し,敗血症性ショックや重症SIRSの治療に臨床応用することを目的としている。 平成13年度は,前年度の各種吸着剤のin vitroでのサイトカイン吸着実験で得られたデータをもとに,各種サイトカインの吸着特性に優れたセルロースビーズにヘキサメチレンジイソシアナートを架橋した吸着剤(CF-X)を選択し,臨床応用可能な吸着剤に改良するための各種の実験を行った。CF-Xは,自己免疫疾患者の病的抗体や免疫複合体を吸着除去することを目的に開発されたカラムのため,サイトカイン以外に生体に有用な免疫グロブリンを高率に吸着する。そのため,まずこの吸着剤に,生体膜と類似の構造をもつ2-methacryloyloxyethyl phosphorylcholine (MPC)をコーティングし,サイトカイン吸着特性を保ったままグロブリンの吸着率を低下させうるかどうかを検討した。その結果,MPCのコーティング濃度を変えることで,サイトカイン吸着特性を保ったまま免疫グロブリンの吸着特性を抑えることが可能であり,CF-Xのグロブリン吸着量はMPC濃度に比例することが判明した。この結果をもとに,臨床応用可能なCF-XとしてMPC濃度20%でコーティングした新しい吸着カラムを作成することとなった。一方,CF-Xは血漿吸着用に開発されたため,ビーズ径が小さく,実際に臨床で施行しやすい直接血液灌流(DHP)を行うには適さない。そのため,現在ビーズ径を大きくした吸着剤を数種類作成し,DHPに適した大きさを検討するとともに,動物実験に用いるためにハウジング化したカラムを作成中である。次年度はこの新しく開発された吸着カラムを用いて動物実験を行い,本カラムの安全性とサイトカイン吸着効率を検討する予定である。
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