研究課題/領域番号 |
13671223
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
外科学一般
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研究機関 | 山梨医科大学 |
研究代表者 |
鈴木 章司 山梨大学, 医学部, 助手 (30235949)
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研究分担者 |
保坂 茂 山梨大学, 医学部, 助手 (50209219)
吉井 新平 山梨大学, 医学部, 助教授 (60166907)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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キーワード | 凍結保存同種ヒト心膜 / 小児心臓外科 / 左心低形成症候群 / Norwood手術 |
研究概要 |
小児心臓手術における補填材料として、抗血栓性、抗感染性、耐久性、生体への親和性を兼ね備え、脆弱な小児の心血管にも適合しうる柔軟性があり、かつ医療経済性に優れたものはない。我々は凍結保存同種心膜(cryopreserved homograft pericardium)を新たな補填材料として使用することの妥当性を評価するため、心膜に関する基礎データの収集と生体材料(組織片)の強度やしなやかさを定量的に評価する方法の確立を目指した。また、オーストラリアにおいて凍結保存同種心膜を臨床応用し、それらの症例の遠隔成績を検討した。 インフォームド・コンセントに基づき成人の開心術時に心膜を採取、プログラムフリーザーにて凍結保存心膜を作製した。接触面の拡大と低荷重化を加えたdigital thickness meterにより厚さの測定を行い、glutaraldehyde処理、凍結保存等による強度の変化を引張試験機にて測定し比較した。その結果、凍結保存心膜は新鮮心膜よりも若干強度において劣るが、極めて弾性、すなわちしなやかさにおいて優れていることが明らかとなった。 また37例の小児心臓手術において、高圧系(体循環系)心血管(N=23)、低圧系(肺循環系又は体静脈系)心血管(N=19)(5例は両者)の補填物として凍結保存心膜を使用した。その結果、それぞれ平均19.7±15.6ヶ月及び27.1±17.5ヶ月の追跡期間中では凍結保存同種心膜に関連した合併症は認められなかった。 以上より、今後さらに多数の検体を用いた基礎データの蓄積が必要であるが、その評価法を確立することができた。また、臨床例における経過観察期間が未だ短いため発表する段階にはないが、凍結保存同種心膜が小児の心臓手術における高圧系の心血管補填材料として非常に有望であることが明らかとなった。
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