1.研究の目的 敗血症は今持って重症患者での死因の主たる因子であり、その制御は重要な課題である。一方、近年、サイトカイン等における遺伝子多型によって敗血症の罹患率や予後の差が示されつつある。しかし、これらの研究は症例数も少なく、結果は研究によって大きなバラツキがあり、また、非常に限られた遺伝子の多型についてしか検討されていない。そこで、本研究では多施設研究によってアメリカとの共同研究により多数の遺伝子の多型性と敗血症との関連、特に敗血症性ショックの罹患率やその予後との関連やそれらの人種差を検討する。 2.本年度の研究実績 論文や学会、研究会等で敗血症と遺伝子多型の関連についての発表や、この研究の概要についての発表を行い、敗血症と遺伝子多型の関連の究明の必要性を流布した。また、この研究の概要を紹介する説明会を開催し、多数の施設の集中治療部、外科に参加を呼びかけた。日本から現在は少なくとも10施設以上の参加が得られることとなった。患者家族への説明用紙や臨床データ集積ソフトを制作し、臨床研究の準備を行った。 一方、アメリカの研究協力者(ワシントン大学外科テイモシー G パックマン教授)や国内研究者とも検討を重ね、検討すべき遺伝子多型を選択するとともに、検体収集法や輸送法を決定し、匿名化をはじめとした患者情報管理の徹底化を行い、患者情報の安全性を向上させた研究システムを構築した。 以上のような活動によって、研究体制が整い、各施設の倫理委員会で承認を得た施設では対象患者を登録し、検体の収集を開始した。来年度には収集した検体から解析を開始し、順次結果が報告される予定である。
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