研究課題
基盤研究(C)
MRガイド下手術のナビゲーションでは1枚2-3秒で撮像されるリアルタイムMR画像が非常に有用であるが、そのコントラストや分解能には限界がある。そこで術前に撮像した精細3D画像をリアルタイム画像と併用する本研究を計画した。先ず、撮像面をコントロールするハンドピースの位置情報と撮像されたリアルタイム画像をネットワーク経由で送出し続けるプログラムをMRシステムに作成した。別個のコンピュータにハーバードより入手したソフトウェア、3Dスライサーを導入し、われわれ目的にかなうよう改良した。これにより、ハンドピースの位置情報をもとに、術前の高解像度の画像データからリアルタイム画像と同一面、直交面の画像を再構築し、瞬時に術者に送出することが可能となった。穿刺した針の位置などは、リアルタイム画像で逐次確認する必要があるが、再構成画像はハンドピースへの反応性も早く、画像のコントラストもすぐれていた。このシステムを肝腫瘍マイクロ波凝固療法約50例、脳外科手術約10例に使用した。再構成画像は、ターゲットとする腫瘍を明瞭に描出できるばかりでなく、腫瘍の周囲の構造、例えば、血管の走行の描出にも優れ、より安全な穿刺を可能とした。通常のリアルタイムMR画像に用いるT1強調画像で描出が難しいターゲットに対しては、T2強調画像や、造影MR画像などコントラストの異なるデータを自由に組み合わせることもでき、MR画像ガイド治療の適応を拡大することにも役立っている。さらに、肝腫瘍に対するマイクロ波凝固治療では、繰り返し行なう治療ごとに、フットボール型の凝固巣を3次元画像上に記録する「フットプリンティング」の機能を追加し、治療を確実に行なうことができるようになった。現在では、このナビゲーションシステムが必要不可欠となり、日常的に利用されるに至っている。
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