研究課題/領域番号 |
13671228
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
外科学一般
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
小野寺 久 京都大学, 医学研究科, 助教授 (50240825)
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研究分担者 |
今村 正之 京都大学, 医学研究科, 教授 (00108995)
山崎 誠二 京都大学, 医学研究科, 助手 (50303839)
古谷 栄光 京都大学, 工学研究科, 助教授 (40219118)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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キーワード | 血糖値制御システム / モデル予測制御 / 状態予測制御 / ゲインスケジューリング / 人工膵島 / Diabetes Mellitus |
研究概要 |
外科周術期における血糖管理の良悪は、感染症や縫合不全などの合併症に直結し患者の生死をも左右する。とりわけ重症糖尿病患者や膵臓切除後においては正確で安定した血糖コントロールが必須となるが、現時点では医師の頻回の血糖測定とそれに対するインスリン投与に委ねられている。本研究では制御工学を応用して糖代謝の調節を可能とし、周術期の安定した血糖管理システムの確立を目的とした。制御アルゴリズムは状態予測制御やモデル予測制御であり、これは血糖を急速に目標値に合わせるのではなく、むだ時間先の変動まで予測して注入量を決め、滑らかな軌道で目標値に到達させるものである。また異常事態においては専門家の知識や経験を優先したファジー理論も組み込んだ。血糖非投与下での新しい制御法では、インスリンが各個体の血糖変化に対応して至適投与速度を計算しながら投与されるため、初期の過剰投与を防ぐことができ、行き過ぎ量も最小限に抑えることが可能であった。そのため総インスリン投与も少なくグルコースによる補償も最小に近い理想的な結果となった。次に臨床の状況を模倣してグルコース持続負荷時の血糖制御実験を行った。この場合のモデル予測制御単独による血糖制御は、モデルと生体との間にパラメータの不一致が生じ、血糖制御が時に困難になった。しかしモデル予測制御に同定機能とゲイン調節を備えた比例制御を組み込むことにより、より安定した血糖制御が可能となった。本研究で開発した血糖制御システムは従来の古典制御に比較して効率的かつ安全であり、術後重症患者の血糖制御に応用が期待される。今後は臨床での安全性を確認し、更なる問題点の抽出を行って改良を加え、汎用性のあるシステムとする必要があると考えられる。開発する制御システムは埋込み型人工膵島にも応用可能であり、血糖センサーの改良や器具の小型化と合わせ糖尿病患者への福音となりうる。
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