研究課題/領域番号 |
13671233
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
外科学一般
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
中田 精三 大阪大学, 医学部附属病院, 助教授 (50116068)
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研究分担者 |
清水 重臣 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (70271020)
伊藤 壽記 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (20231152)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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キーワード | 膵島 / アデノウイルスベクター / CTLA4Ig / FK506 |
研究概要 |
平成13〜14年度研究実績 Co-stimulatory moleculeのうちの1つでT細胞の活性化を抑制する作用を持っているCTLA4Igにより拒絶反応を抑制する報告が相次いでいる。我々はこのCTLA4Ig遺伝子をアデノウイルスベクターを介して導入することにより、膵島移植における生着延長効果を検討した。βガラクトシダーゼを発現するLacZ遺伝子をコードする組み換えアデノウイルスAd.LacZを膵島へ感染させ、Xgal染色により検討したところ、アデノウイルスベクターで膵島機能が保持されかつ最適の感染効率は2MOI (Multiplicity of infection)であることを確認した。BNラットから分離した膵島をストレプトゾトシンによって高血糖を誘導されたLEWラットの左腎皮膜下へ移植した。分離した膵島へAd.CTLA4Igを2MOIで感染させ移植したところ、コントロール群(6・7±1.2日)と比較して、遺伝子導入した膵島の生着は延長した(8.6±1.3日)。またFK506の短期間投与を組み合わせることによりさらに延長した(32.6±10.7日)。しかし、永続的な生着は得られなかった。分離した膵島に遺伝子導入しても、膵島において充分量の長期間にわたる蛋白発現が得られなかったことが原因と考えられる。一方、Ad.CTLA4Ig 2×10^9 PFUを静脈内投与し、全身にCTLA4Ig遺伝子を感染させるモデルでも生着を検討した。Ad.CTLA4Ig全身投与により、膵島の生着は15.2±3.3日まで延長した。この場合FK506短期間処置を組み合わせると全例100日以上まで生着した。これらのことはCTLA4Ig遺伝子導入およびFK506の併用療法は相乗的に生着延長効果を示すことが示唆された。さらに長期生着したLEWレシピエントから左腎を摘出することにより再度高血糖を誘導し、改めてBNラットの膵島を移植したが、何れも最終的には拒絶された。このことより膵島移植ではDonor-specific toleranceは得られていなかったことを示している。一方BNラットからLEWラットへの異所性心移植モデルではAd.CTLA4Ig全身投与単独で100日以上の生着が得られ、また、Donor-specific toleranceも誘導されていた。以上のことより、本プロトコールにおいて膵島移植では免疫原性が高く免疫寛容誘導が困難であると考えられた。
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