研究概要 |
In vivoにおける研究として、卵摘雌性ラットを用い乳癌治療薬としての抗エストロゲン剤(選択的エストロゲン受容体修飾剤:tamoxifen, toremifene,及び新世代アロマターゼ阻害剤:anastrozole)による脂質代謝、特にVLDL代謝に及ぼす影響を検討した。SDラットにtamoxifen及びtoremifene、anastrozoleをそれぞれ0.8mg/kg/day、1.6mg/kg/day、0.02mg/kg/day3週間連日経口投与し、投与終了後に総コレステロール、VLDLの主器質である中性脂肪とその分解酵素であるリポ蛋白リパーゼ(LPL)を測定した。以前の研究で、tamoxifenがLPL活性を阻害することが判っていたが、その結果と比してanastrozoleはラットにおいて、tamoxifenと比して全く影響を与えないことが判明した。また、toremifeneはtamoxifenと構造上は類似するものの、tamoxifenよりもVLDL代謝に対する影響は少ないことが示された。以上より、toremifeneやanastrozoleはtamoxifen使用時の脂質代謝異常に対して、代替薬としての投与の可能性が示唆された。 一方、平成14年に、新世代アロマターゼ不活化剤であるexemestaneが臨床応用され、同剤のVLDL代謝に及ぼす影響についても同プロトコルを用いて前述のanastrozoleと比較検討した。ステロイド性である同薬剤はLPLの活性には変化を与えないものの、その酵素量を増大させる結果が判明した。VLDL代謝において有利な影響を与えることが示唆された。
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