これまでの研究成果より、ラット腎移植モデルにおけるIL4の拒絶反応抑制効果とその作用機序ついて検討してきた。 現在までの実験モデルは、Adenovirus vectorでgraftを還流投与し約90分間保存した後に臓器移植を施行していたが、その時点ではvectorの導入は完了しているものの移植臓器におけるサイトカイン発現は極めて微量であることが判明した。サイトカイン発現のピークは移植後24〜48時間後であることが想定されることから、免疫抑制効果は必ずしも移植臓器内におけるIL4のoverexpressionによるものではなく、肝臓を中心としたIL4の全身的作用による可能性が示唆されている。従ってIL4の作用機序を明確にすべく 1.現行モデルにおける他臓器でのIL4発現 2.長期保存後のラット腎移植モデルについて検討中である。 一方、上記検討中に、これまで実験に用いてきたAdCMVIL4、AdCMVIL10のサイトカイン発現が不安定となった(保存状態の問題と考えられる)ことが確認され、また新たな入手が極めて困難なことから、Adex1CAmIL4、Adex1CMhIL4、Adex1CAmIL10(RIKEN DNA Bank)を分譲譲渡いただき研究を続行することとした。現在、増殖を完了しin vitroにおけるサイトカインの発現能を確認中であり、基礎実験結果を確認の後、上記研究を続行する。
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