研究概要 |
肝移植において移植肝を摘出後、虚血状態を無くしてレシピエントに移植できる方法を探る目的で本年度は3回の実験を行った。 実験方法:幼若豚を全麻下に開胸開腹し胆摘後胆管にチュービング、肝周囲を剥離を行い、門脈、下大静脈にカニューレを挿入し、心拍動があるままで体外循環をゆっくり回し始め、門脈灌流を10ml/Kg/minにまで増加させる。この状態で肝動脈を結紮切離、肝上部下大静脈をクランプし肝臓を灌流した状態のまま摘出し、37℃のラクテックを満たしたベースン中に浸漬した。肝下部下大静脈から脱血した血液は膜型肺で酸素化してバイオポンプに接続した。 実験結果:灌流血液中の電解質、肝逸脱酵素、血糖値、酸塩基平衡、血清浸透圧等につき実験開始後12時間まで測定した。 AST, ALTの変化はASTは術前値73、1時間43、、3時間57、6時間48、12時間127IU/Lであった。ALTは術前値40、1時間20、3時間7 6時間5 12時間6U/LとAST, ALTともに変動が見られなかった。しかしBE1時間値が-23であり、適宜メイロンを投与したが12時間までこの値はほとんど変わらず、著しいアシドーシスを示した。血糖値は灌流開始後1時間目から3000mg/dlと著しい高値を示し、12時間目には3850mg/dlとなり、インスリンを投与したが効果はみられなかった。 少括:37℃の実験条件下では糖新生が起こり、今回行った実験系にはこの新生された糖を細胞内に取り込むことが出来ないためにこのような結果になったものと考えられた。 今後の対策について:糖新生をおこさないための対応大切であり、次年度は低温下での実験を行いたい。
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