肝移植においてドナー肝の長時間保存と虚血再灌流障害を回避するためにドナー肝の灌流保存の至適条件を探ることを目的で研究を行っている。 摘出ブタ肝臓の肝動脈を結紮し、門脈から膜型肺で酸素化した血流を10ml/kg/minの速度でバイオポンプを用いて注入し、下大静脈から回収した血液を膜型肺に導く回路を作製して灌流実験を行った。灌流血液温度が37℃では灌流血中の血糖値が3000〜3850mg/dlと上昇し、Base Exessが-23mEq/lと著しいアシドーシスを示した。このため糖新生を含む摘出肝の代謝を低下させる目的で灌流血液の温度を21℃に下げて灌流を行ったが、血糖値は2500〜3500mg/dlと多少の低下がみられた程度であった。 このため血糖値を安定させて長時間にわたり肝臓を灌流保存するためには、脾動静脈と腹腔動脈を用いた肝臓と膵臓の同時灌流が必要と考えられた。 次年度は肝・膵同時灌流実験を行う予定である。
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