肝移植においてドナー肝の長期保存を可能にすることをめざし、虚血再灌流障害を回避してドナー肝の灌流保存の至適条件を探ることを目的として研究を行っている。 摘出ブタ肝臓の門脈に膜型肺で酸素化した血流を流して、門脈の動脈化を行い、下大静脈から回収した血液を再び膜型肺に導く回路によって灌流するシステムを作成して灌流実験を行ってきた。これまでに行った灌流温度を37℃と21℃に設定した実験結果では、いずれにおいても灌流血中の血糖値が2500〜3850mg/dlと著しく高く、BEは-23nEq/lとアシドーシスとなり、灌流温度の設定のみでは糖新生を抑えることが出来なかった。 平成15年度は肝・膵同時灌流実験を行った。門脈からの灌流では膵の灌流は出来ないため、右胃動脈、左胃動脈、胃十二指腸動脈と門脈本幹を結紮切離して、肝臓と膵臓の同時灌流を腹部大動脈-下大静脈系で試みた。理論上は可能な系と考えられたが、手術操作が煩雑なためか、今年度のみではこの系を完成させることは出来なかった。
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