研究概要 |
1.申請者は、卵巣癌患者の癌性腹水よりB細胞系・単球系白血病細胞を自己HLA-DRB1^*04051拘束性に認識するCD4陽性T細胞を確立した。それらはHLA-DRB1^*04051拘束性に自己反応性を示したためcDNA library expression法による認識される抗原のクローニングは困難であった。しかしながら、細胞内のクラスII pathwayに必要な分子であるinvariant chain(Ii)やクラスIIトランスアクチベーター(CIITA)plasmid cDNAを準備することができた。 2.久留米大学で進行中である抗原ペプチドを用いた癌ワクチンの臨床研究では、患者によっては投与された癌抗原ペプチド(9-mer,10-mer)に対してIgG抗体が誘導される。申請者は、癌ペプチドワクチン療法を受けた癌患者を解析することにより、9-merであるUBE2V 43-51ペプチドを投与された肺癌患者に、UBE2V 43-51ペプチドをHLA-DRB1^*0403拘束性に認識するCD4陽性T細胞が誘導されることを確認した。 3.申請者は、日本人の多くが発現するHLA-A^*2402分子に提示され前立腺癌に対する細胞傷害性T細胞を誘導できるペプチド同定を試み、prostate-specific antigen(PSA)152-160,PSA248-257ペプチドを同定した。また、PSA248-257ペプチドのワクチンを受け、このペプチドに対するIgG抗体が増加した前立腺癌の末梢血リンパ球よりPSA248-257ペプチドを含むlong PSAベプチドを認識するCD4陽性T細胞を確立した。しかしながら、確立したCD4陽性T細胞やワクチン後に増加したIgG抗体は、投与されたPSA248-257ペプチドを認識できないことから、癌ワクチンにより癌患者内でエピトープの拡大が生じたことが示唆された。
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