研究概要 |
平成13年度は、乳酸-グルコール酸共重合体生分解性高分子のマイクロスフイアに免疫抑性剤タクロリムスを封入し、ラットを用いてその薬理学的特徴を検討した。以下の4つの研究成果を得た。 1.タクロリムスを封入したマイクロスフィアは、200μm以下の粉末状微少粒で、タクロリムス含有率は、2回の調整で、6.76%,6.48%と安定していた。 2.タクロリムス封入マイクロスフイアのラット背部皮下投与で、タクロリムス1.6mg/kg,2.4mg/kg,7.2mg/kgの全血中タクロリムスを経時的に測定したところ、14日間ほぼ一定の値を維持し、優れた徐放性を認めた。特に、2.4mg/kgの高濃度のタクロリムス投与でも、副作用として高頻度に見られる下痢症状を認めなかった。 3.タクロリムス封入マイクロスフイア投与後10日目の組織内タクロリムス濃度は、網内系を代表する所属リンパ節、骨髄に高い集積性を示した。これらの組織は、免疫担当臓器で、免疫抑性剤の作用部位として効果的であった。 4.タクロリムス封入マイクロスフイア2.4mg/kg1回皮下投与によるラット肝移植においては、タクロリムス原末1.0mg/kg1回筋注投与とほぼ同様の生存日数を認めるに過ぎなかった。しかし、タクロリムス封入マイクロスフイア0.16mg/kg1回皮下投与という2.4mg/kg1回皮下投与の1/15の少ない投与量においても弱い免疫抑性効果を示した。
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