研究課題/領域番号 |
13671279
|
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
轟 健 筑波大学, 臨床医学系, 助教授 (70114105)
|
研究分担者 |
入村 達郎 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 教授 (80092146)
正田 純一 筑波大学, 臨床医学系, 講師 (90241827)
|
キーワード | pT2胆嚢癌 / MY.1E.12 / MUC1ムチン / GalNAcT3 / E-cadherin / 予後 / 再発形式 |
研究概要 |
平成14年度までに我々はMY.1E.12で認識されるMUC1ムチンが胆嚢癌の予後や再発に関与していることを明らかにしてきた。 本年度はそのメカニズムを解明するために、細胞間接着分子の一つであるE-cadherinとMUC1ムチンの細胞内合成を司るGalNAcT3糖転移酵素の発現を中心に検討した。 その結果、MUC1ムチンの細胞内分布が刷子縁から細胞質および細胞外間質に変化することにより、E-cadherinの分布も細胞膜から細胞質に変化することが免疫組織化学的に認められた。また、胆嚢癌E-cadherinの局在が細胞膜に限局するmembranous typeと細胞質にびまん性に分布するnon-membranous typeに分類すると、後者に有意に遠隔転移再発の頻度が向上することが判明した。 これらの所見から、MUC1ムチンの局在変化がE-cadherinの分布を変化させ、その機能に影響を与える可能性が示唆された。また、GalNAc T3に関しては既に胃、大腸癌で報告されているように、癌組織の分化度に関与するとともに、予後に影響を与えることが報告されている。我々はまずその発現を胆嚢癌において検討した。GalNAc T3は核上に存在するゴルジ体上に位置するが、癌化に伴いその分布が細胞質内にびまん性に局在が変化することが認められた。更にそのタンパクレベルは癌が進行するに伴い上昇することが観察された。 これらの実験結果より、GaINAc T3は癌の進行度と関連することが判明した。更にその後の検討より、GalNAc T3のタンパクレベルとMUC1ムチンのそれがパラレルに変化することが示唆されたことから、GalNAc T3がMUC1ムチンを制御し、MUC1ムチンがE-cadherinを制御する機序が考えられた。以上の検討より得られた仮説を実証するために、既に樹立した胆嚢癌細胞5株におけるMUC1ムチン発現をflow cytometerの手法を用いて解析した。 その結果、全例にMUC1ムチンの発現が認められた。
|