研究課題/領域番号 |
13671279
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
消化器外科学
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
轟 健 筑波大学, 臨床医学系, 助教授 (70114105)
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研究分担者 |
正田 純一 筑波大学, 臨床医学系, 講師 (90241827)
入村 達郎 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 教授 (80092146)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2003
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キーワード | 胆嚢癌 / 粘液形質 / MUC1 / モノクローナル抗体 / 免疫染色 / 発現様式 / 転移・浸潤 / 腫瘍生物学 |
研究概要 |
MUC1は広く上皮系細胞で発現される分子量20万以上の糖蛋白で、上皮細胞の潤滑と保護の作用があると考えられている。MUC1のシアリル化は細胞の癌化の過程でみられる現象で、癌細胞の浸潤や転移に関与していることが最近の研究で明らかになってきた。既に臨床例の検討では大腸癌、肝内胆管癌、腎癌において、シアリル化MUC1の高発現例は病理組織学的悪性度が高く、予後不良と報告されている。ss胆嚢癌の治療成績はm, mp癌とsei癌のほぼ中間に位置しているが、その内容を自験例で検討すると予後良好な症例と不良な症例に分かれることから、生物学的悪性度の違いが予想された。そこで、シアリル化MUC1の発現を免疫組織化学的に検討したところ、間質型の染色様式が深達度の深い症例に、また表層部より浸潤部に高率に認められ、シアリル化MUC1の間質型発現が癌浸潤部に特異的である可能性が示唆された。今回検討したss癌において、浸潤部の間質型染色様式が10%未満の症例と10%以上の症例との間で病理組織学的悪性度を比較したが、有意な差は得られなかった。しかし、再発形式では10%以上の9例中、4例に腹膜播種性転移がみられたこと、生存率でみると有意差はないものの10%以上の症例で5生率が不良である傾向がみられた。シアリル化MUC1が間質に発現する機序、および意義はまだ完全に解明はされていないが、癌細胞-細胞外マトリックス間や癌細胞間の接着を抑制していることとなると、容易に腹膜へ播種性に転移することは予想される病態であろう。以上の検討より、シアリル化MUC1の浸潤部における間質型発現が腹膜播種性転移や予後に影響を及ぼす独立した因子となり得る可能性が示唆された。
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