研究概要 |
1.20症例のスキルス胃がん組織を含む様々な分化度の胃がん組織約40症例についてAffymetrix gene chip(12,629遺伝子)にて解析し、発現プロファイルを取得した。症例の組織型の内訳は、分化型がんが15症例、未分化型がんはpor1が5症例、por2が20症例であり、それらの発現プロファイルを比較した結果、por1は分化型のプロファイルに近く、por2のうち5症例は分化型に近いものであり、純粋にスキルス冒がんとしての性質をもつものは15症例であることが判明した。そこで純枠にスキルス胃がんとしての性質をもつ胃がん組織よりがん細胞と間質の線維芽細胞をそれぞれLCMによって分離し、total RNAをTALPAT法にて増幅してAffymetrix gene chipにて解析し、がん細胞と線維芽細胞の発現プロファイルを得ることに成功した。得られた発現プロファイルはスキルス胃がんの本態の解明につながる有用な成果であると期待される。 2.スキルス胃がんに特異的な遺伝子の探索過程において得られた、徴小な腹膜播種を術中診断する方法に応用しうる遺伝子について、TALPAT法にて増幅し、枯渇を防止した108例の洗浄腹水RNAにてRT-PCRを行い、有用性を検討した。得られた11の遺伝子のうち、5つの遺伝子は特異性が高く、定性的PCRにて応用可能だが、6つの遺伝子は特異性がやや低く、定量的PCRもしくは免疫染色法などを応用する必要性があると思われた。また5つの遺伝子については腹膜播種のみでなく、他の再発形式をも予測しうることが判明した。
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