研究概要 |
1.スキルス胃がんのように分化度の低い胃がんのマイクロアレイ解析には、LCMによるマイクロダイセクション法により集めた約100個の胃がん細胞由来の極微量RNAを増幅する技術が必要であり、T7 RNA polymerase-mediated RNA amplificationとadaptor ligation-mediated PCRを組み合わせたTALPAT法の開発および至適化を行った。胃がん培養細胞株100細胞由来のtotal RNAをTALPAT法で増幅し、Affymetrix gene chip (12,629遺伝子)による解析において極めて高い再現性を示し、がん組織よりLCMにて得られた100〜1000細胞由来のRNAをTALPAT法にて増幅してマイクロアレイ解析に適用できた。 2.様々な分化度の胃がん組織約40症例についてAffymetrix gene chipにて解析し、発現プロファイルを比較した。その結果未分化型のpor2の中にも純枠にスキルス胃がんとしての性質をもつものが分けられることが判明した。その胃がん組織からLCMによってがん細胞と線維芽細胞を分離し、total RNAをTALPAT法にて増幅してAffymetrix gene chipにて解析し、スキルス胃がんの本能解明に有用な発現プロファイルを得た。 3.スキルス胃がんに特異的な遺伝子の探索過程において、洗浄腹水のRT-PCRにより微小な腹膜播種を術中診断する方法に応用できる11の遺伝子が得られた。TALPAT法にて増幅し、枯渇を防止した108例の洗浄腹水RNAにてRT-PCRを行い検討したところ、5つの遺伝子は特異性が高く、定性的PCRにて応用可能だが、6つの遺伝子は特異性がやや低く、定量的PCRもしくは免疫染色法などを応用する必要性があると思われた。また5つの遺伝子については腹膜播種のみでなく、他の再発形式をも予測しうることが判明した。
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