平成15年度に食道癌に対するセンチネルリンパ節の同定の臨床研究を実施したのは3名であり、平成14年度の7例を合わせ計10名に実施した。症例の内訳は、男性8名、女性2名、平均年齢は64歳(50歳-74歳)であった。病変の深達度は、粘膜癌1例、粘膜下層癌8例、外膜浸潤癌1例であった。病変の局在は、上部食道1例、中部食道8例、腹部食道1例であった。リンパ節転移は、粘膜下層癌の2例と外膜浸潤癌の1例に認められた。施行した術式は、3領域郭清6例、2領域郭清2例、経裂孔的根治的食道切除1例、食道抜去1例であった。リンパ節郭清における平均郭清リンパ節個数は42個(14個-76個)であった。リンパ節にRIの取りこみを認めたのは9例で、1例で取りこみがなかった。RIの取りこみを認めるリンパ節(hot node : HN)は、所属リンパ節部位としては、1ヶ所から7ヶ所、リンパ節個数としては1個から9個認められた。リンパ節転移を認めた3例(1例はHMを認めず)で、転移リンパ節にRIの取りこみは認めなかった。まだ10例と少数例しか検討していないが、現時点ではHNはその症例ごとに様々であり一定の傾向は認められていない。また、転移リンパ節にRIの取りこみがなかったので、HNが本当にセンチネルリンパ節であるという確証にはなっていない。
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