研究概要 |
ホトフィリン封入率90%、3ヶ月安定なリポソーム化ホトフィリンが作製され(佐塚)、実験に使用した。まずこのリポソーム化ホトフィリン投与後の生体内薬剤濃度の検討を行った。ヒト胃癌MT-2をヌードマウス背部皮下に移植後、フォトフリン投与群(C群)、リポソーム化フォトフリン投与群(L群)に群別し、フォトフリン量として10mg/kgを尾静脈より投与し投与後4,8,24時間後の腫瘍組織、肝、腎、皮膚、血清におけるフォトフリンの濃度を分光蛍光光度計にて測定した(C、L群共にn=4X3)。フォトフリンの腫瘍内濃度は投与後8時間でL群に有意に高値であった(p<0.05)。L群において有意な肝集積性を認めたが他の臓器では有意な集積性の相違は認めなかった。 続いて治療実験を行った。すなわちフォトフリンまたはリポソーム化フォトフリン投与後8時間または24時間後にEximaDyeLaser(EDL)による照射(40J/cm^2)をおこない、照射後1,3,5,7日目に推定腫瘍重量(0.4×長径×短径^2)及び腫瘍内血流を測定した(C、L群共にn=4X2)。3)組織学的検討:照射後9日目に犠死せしめ腫瘍退縮率(NIH image)と、TUNEL法によるAI(apoptosis index)を算出し比較検討した。投与後8時間における照射によりL群で有意な推定腫瘍重量の低下が1,3,5,7日全てで認められた。また投与後8,24時間いずれの照射後もL群において腫瘍血流量の低下が,3,5,7日全てで認められた。3)投与後8時間照射でL群において有意な腫瘍退縮率の増加とAIの増加が認められた。 本年度の研究成果によりリポソーム化ホトフィリンによるPDTが有用な消化器癌治療のmodalityとなることが示された。
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