研究課題/領域番号 |
13671296
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
秋山 清次 名古屋大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (40202551)
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研究分担者 |
小池 聖彦 名古屋大学, 医学部・附属病院, 医員
幸村 定昭 (財)応用生化学研究所, 研究部長 (80211233)
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キーワード | 食道癌細胞 / 遺伝子治療 / hIFN-β遺伝子 / 正電荷多重膜リポソーム / 遺伝子導入 / 5-FU / 抗腫瘍効果 / 併用効果 |
研究概要 |
本研究代表者らは既に悪性黒色腫、悪性脳腫瘍等の治療に用いられているヒトinterferon-β(hIFN-β)に注目し、IFN-βがヒト食道癌培養細胞に対してもかなりの増殖抑制作用を有することを明らかにしている。しかしながら、腫瘍内のIFN-βの濃度を持続的に維持し、IFN-βの副作用を軽減し、より強い抗腫瘍作用を得るには、IFN-β遺伝子の導入が有用と考えられる。本研究の課題はIFN-β遺伝子を用いた食道癌の遺伝子治療の有用性を確認することにあり、平成13年度には以下の点を明らかにした。 1.10種類のヒト食道癌培養細胞に対するhIFN-βの増殖抑制作用を確認し、hIFN-βと5-FUとの併用効果も明らかにした(印刷中)。 2.正電荷多重膜リポソーム包埋hIFN-β遺伝子導入による増殖抑制作用をヒト食道癌培養細胞を用いて明確にした。ならびに5-FUの抗腫瘍作用との併用効果についても明らかとした。10種類の食道癌培養細胞に対するhIFN-β遺伝子のIC_<50>値は16-176ng DNA/mlであった。hIFN-β遺伝子導入後、hIFN-βの産生を確認した。さらにhIFN-β遺伝子の導入と5-FUとを併用することにより、1/2から1/10の濃度の5-FUでも同等の細胞増殖抑制効果が得られることを明らかとした。この結果より、hIFN-β遺伝子導入と5-FUの併用療法は増殖抑制効果を増強し、かつ副作用を軽減しうることから、食道癌の治療法として有望と考えられる。 3.ヒト食道癌移植モデル動物を用いてhIFN-β遺伝子導入と5-FUの併用効果を検討する研究を進行している。このin vivo実験の結果を基に専用のカテーテルを開発し臨床研究へと進めていくことを検討中である。
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