研究概要 |
平成13年度研究結果 IBDに対する免疫抑制剤投与が病態に及ぼす影響をIL-10^<-/->マウスを用いた粘膜免疫学的手法により解明することを目的とし実験的研究を行った.平成13年度はIL-10^<-/->マウスに対しFK506,FTY720投与実験を行い以下の知見を得た. 免疫抑制剤投与による腸炎発症抑制実験 離乳期(4週齢,IBD発症前)のIL-10^<-/->マウスに対し8週間の免疫抑制剤(FK506,FTY720)投与を行い,腸炎発症週齢(12週齢)におけるその腸炎発症抑制効果につき検討した。腸炎の発症は大腸近位部,中部,遠位部の3切片を作成し,その組織学的所見を単核球浸潤(0-3),杯細胞減少(0-3),腸陰窩の伸展(0-3),陰窩膿瘍(0-3),壁肥厚(0-3),びらん(0-2),充血(0-2)の基準に基づきスコア化し判定した。 FK506投与群ではPlacebo投与群と比較して体重変化,大腸組織学的所見上明らかな腸炎発症抑制効果は認められなかった。 FTY720投与群はPlacebo投与群と比較して体重変化に明らかな差は認められなかったが,大腸組織学的所見スコア上統計学的に有意な腸炎発症抑制効果を認めた(FTY720投与群1.6±2.3,Placebo投与群19.3±13.1)。 粘膜免疫学的所見では大腸粘膜固有層(LP)のリンパ球数減少が認められた(FTY720投与群 平均5.6×10^6,Placebo投与群 平均8.7×10^6)。各表面マーカー(CD3,CD4,CD8,B220,CD11b, NK1.1,TCRβ,γδ)を利用しFACSを行い分画の変化を検索したところ,CD3陽性細胞,CD4陽性細胞の比率は減少していた。
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