研究分担者 |
福本 巧 神戸大学, 医学部附属病院, 医員
岩崎 武 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (90324912)
具 英成 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (40195615)
黒田 嘉和 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (70178143)
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研究概要 |
<2003年度の研究成果> 経皮的肝灌流(PIHP)の効果についてこれまでの肝細胞癌(HCC)症例で奏功率、生存率を解析した。 【対象】2003年12月までにPIHPで治療した進行肝細胞癌82例(初回切除不能38例,切除後再発16例,減量切除併用28例)を対象とした。stageIVA/IVBは68例/14例、肝炎はB/C/NBNCが32例/41例/9例で平均ICGR15は15.7%、平均最大腫瘍径7.0cm、Vp3,4は20例、Vv2,3は12例で全例5個以上の肝内転移を認めた。PIHPはadriamycin(80〜150mg/m2)叉はcisplatin(150〜200mg/m2)を高用量投与し平均2回反復した。【成績】奏効率(PR+CR)は64%、生存率は全体(1年73,5年17%)、stageIVA(1年81,5年20%)と他治療では絶望視された症例でもPIHPにより良好な中・長期生存が得られ、日本肝癌研究会報告の肝動注(奏効率20%)やTAE(5生率10%)を大幅に上回る肝局所制御力を示した。このうち減量切除+PIHPの28例では奏効率85%、生存率1年87,5年41%とstageIVの成績をさらに向上させ、Vp陽性の予後を陰性と同等レベルまで改善させた。 以上より従来切除不能HCC(stage IV)に対してPIHPにより飛躍的な予後改善が得られ、強力な肝局所制御力が証明された。さらに大型多発進行例や門脈腫瘍栓例では切除を許容する肝機能を有すれば2段階治療により中-長期予後の改善が高率に得られ、高度進行HCCに対し合理的かつ最強の集学的治療と考えられた。 今後インターフェロン前投与でさらに奏効率、生存率が向上するか検討予定である。 【課題】インターフェロン前投与により副作用(白血球や血小板減少などの骨髄抑制)が多く、当初予定していた計画がまだ十分進んでいない。投与量や投与期間を見直してインターフェロン前投与症例を増やしていく予定である。
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