研究課題/領域番号 |
13671310
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
消化器外科学
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
中野 賢二 九州大学, 医学部附属病院, 助手 (00315061)
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研究分担者 |
上田 純二 九州大学, 医学部附属病院, 医員
千々岩 一男 宮崎医科大学, 第1外科, 教授 (90179945)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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キーワード | 変異型ヘルペス単純1型ウイルス / 腫瘍溶解性ウイルス / 胆嚢癌 / 膵癌( / 腹膜播種 / 特異的抗腫瘍免疫 / 抗癌剤 |
研究概要 |
1)変異型ヘルペス単純1型ウイルスによる胆嚢癌に対する抗腫瘍効果 In Vitroにおいて変異型ヘルペスウイルスは胆嚢癌細胞に感染性を有し、ウイルスのtiterに比例して殺細胞効果が認められた。In vivoにおける抗腫瘍効果に関しては、正常免疫能を有するハムスター皮下に同種胆嚢癌細胞を移植して作成した腫瘍に対しウイルスを腫瘍内注入したところ腫瘍の縮小が認められ、生存率も有意に延長した。更に皮下腫瘍を2カ所作成し、一方にのみウイルスを注入したところ対側の腫瘍も縮小するという遠隔部位腫瘍に対する抗腫瘍効果も認められた。この機序としてはTリンパ球欠損するヌードマウスにおいてこの全身的抗腫瘍効果が認められなかったことからウイルスにより誘起された抗腫瘍免疫が関与すると考えられた。 上記の結果は論文(Molecular Therapy:2001;3(4):431-7)に発表した。 2)アポトーシス誘導分子による変異型ヘルペスウイルスの膵癌に対する抗腫瘍効果増強 アポトーシス誘導分子(Tetrocarcin A)を併用しても変異型ヘルペス単純1型ウイルスによる培養膵癌の殺細胞効果およびアポトーシスに有意な変化は認められなかった。さらに抗癌剤・紫外線の追加による効果も検討したが有意な向上は認められなかった。膵癌の高いアポトーシス抵抗性を今回の実験条件では低減できなかった為か、もしくはウイルスの殺細胞機序はアポトーシスに依存しない為と考えられた。 3)腹膜播種は有効な治療法がない転移である。胆嚢癌、大腸癌、胃癌細胞を動物腹腔内に投与して腹膜播種を作成し、変異型ヘルペスウイルスによる治療効果を検討した。微少播種の段階では変異型ヘルペスウイルスの腹腔内投与のみで有意に生存率が向上し、治癒例も認められた。播種結節が大きくなると変異型ヘルペスウイルスのみでは治癒例を認めなかったが、抗癌剤と併用することで有意に生存期間の延長と治癒例が得られた。現在、この成果をまとめ投稿準備中である。 以上の成果は、論文(外科治療:2002;87(3):273-9)にも総括として報告した。
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