研究課題/領域番号 |
13671315
|
研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
濱田 信男 鹿児島大学, 医学部, 講師 (30253868)
|
研究分担者 |
中村 登 鹿児島大学, 医学部附属病院, 助手
菰方 輝夫 鹿児島大学, 医学部附属病院, 助手
|
キーワード | 小腸 / 虚血再灌流障害 / Ischemic Preconditioning / ATP感受性Kチャンネル |
研究概要 |
【目的】虚血再灌流障害に対するischemic preconditioning(IP)の臓器保護効果はこれまで多くの臓器において報告されており、ATP感受性KチャンネルやNO、heat-shock protein、サイトカインなどの関与が指摘されている。しかし、小腸のIP効果については未だ報告例が少なく十分な検討が行われていない。今回、犬を用い小腸虚血再灌流障害に対するIP効果及びその機序について実験的に検討した。 【方法】体重8-13kgの成犬を用いた。全身麻酔下に輸液及び血圧測定のため内頚動静脈を確保後、腹部正中切開で開腹。門脈血採取のため門脈分枝にcatheterを留置後、遮断するSMA、SMVを露出。小腸を遊離し口側は空腸起始部で、肛門側は回腸末端で切離。SMA、SMVを遮断し120分間虚血のcontrol群(n=5)、15分間のIP後に120分間虚血したIP群(n=5)、を作成し、さらにcontrol群と同モデルにNicorandil(ATP感受性Kチャンネル開口薬)を投与したものをNic群(n=5)、IP前にGlibenclamide(ATP感受性Kチャンネル遮断薬)を投与したものをGli群(n=5)とし、再灌流後の門脈血中CPK、Lactate、TNF-a、の動態と腸管粘膜pH(pHi)、小腸の組織学的障害を比較検討した。 【結果】再潅流1時間後のTNF-a値に群間で有意差を認めなかったが、IP群はcontrol群に比べ再灌流後の門脈血中CPK、lactateは低値を示し、pHiは維持された。Nic群はcontrol群に比べ再灌流後のpHiは有意に良好な値を示し、IP群はGli群に比べpHi、門脈血中CPKで有意に良好な値を示した。 【結語】IPは小腸虚血再灌流障害の軽減に有効で、その機序としてATP感受性Kチャンネルの関与が示唆された。
|