研究概要 |
Wistar系雄生8〜12週齢ラットを用い、肝切除率90%、95%のモデルと、対照としてのsham operationモデルをそれぞれ作製した。肝切除後経時的(1,3,6,12,24時間)にラットを犠牲死させ、残肝を採取、AGPC変法にてTotal RNAを抽出、oligo-dT primerとCy3-dUTP、Cy5-dUTP、super script II reverse transcriptaseを用いmRNAをcDNAに逆転写、ラベリングを行った。それぞれの肝切除群と、対照群よりラベリングしたprobe cDNAを競合的にmouse 40K microarrayにハイブリダイゼーションさせる。Microarrayのsignalをscanningし、Cy3、Cy5のsignal intensityをそれぞれ定量的に測定し、肝切除群と対照群の遺伝子発現プロファイルの差異の情報を得た。Gene-Spring(silicon genetics社)クラスター解析プログラムを用いて、遺伝子発現の変化を解析した。 その結果95%(過大量)肝切除モデル群は90%(許容量)肝切除モデル群と比較し、apoptosis関連因子では、Fas, caspase8、IL-18の早期よりの高発現とBcl-2の低発現を認めた。cell proliferation関連因子ではp21の早期からの高発現を認めた。HSPは全体に低発現であった。 さらに、肝再生メカニズムを調べるために、マウス70%肝切除モデルを用いて、同様のcDNAマイクロアレイ解析を行った。その結果、IEgeneとしてIRAK-1やKaryopherin、S期進行に関わる新規遺伝子としてID-2,ID-3,GADDγなどを同定することができた。これらの遺伝子を操作し、新しい肝不全メカニズムの解析に応用したいと考えている。 これらを第104回日本外科学会総会に発表し、後者の実験はJ.Hepatologyに本年3月に掲載された。
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