研究概要 |
キメラNd2のin vitroでのADCC活性誘導能を、種々のヒト膵癌細胞株と健常人末梢血よりFicol遠心分離法にて分離した単核球、好中球との混合培養を行い、その際抗体添加による癌細胞の細胞障害活性を検討した。その結果、末梢血単核球(マクロファージ、NK)をエフェクター細胞として、Nd2抗原発現陽性のSW1990,RWP-1,Capan-1の3種の膵癌細胞株において、キメラNd2添加(1-100μg/ml)にてマウスNd2抗体およびコントロール(PBS)添加に比し、濃度依存性に癌細胞障害活性が増加した。一方、Nd2発現陰性細胞株ではキメラNd2添加にても細胞障害はみられず、抗体依存性障害すなわちADCC活性であると考えられた。また好中球をエフェクターとしても単核球と同等のADCC活性がキメラNd2添加にて認められ、さらにこの癌細胞障害はG-CSFにて活性化した好中球で増強し、ADCCを介したキメラNd2による癌細胞抑制には単核球のみならず好中球も関与していると考えられた。これらの結果をもとに、in vivoでのキメラNd2による膵癌に対する抗腫瘍効果を検討したところ、SW1990皮下移植ヌードマウスへのキメラNd2,100μg/bodyの2回腹腔内投与にて、マウスNd2およびPBS投与群に比し、有意な腫瘍増殖抑制効果が認められた。また膵同所移植モデルにおいてもキメラNd2投与にて有意な生存期間の延長が、また癌細胞脾臓内注射による肝転移モデルにおいても肝転移形成能の有意な抑制効果が認められた。
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