研究課題/領域番号 |
13671334
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
吉田 宗紀 北里大学, 医学部, 講師 (50201017)
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研究分担者 |
古田 一徳 北里大学, 医学部, 講師 (40209177)
高橋 毅 北里大学, 医学部, 講師 (70245405)
柿田 章 北里大学, 医学部, 教授 (90109439)
木村 徹 北里大学, 医学部, 助手 (20255342)
島田 謙 北里大学, 医学部, 助手 (60216059)
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キーワード | 肝切除 / 術後肝不全 / 肝再生 / 肝膵同時切除 / サイトカイン / 血漿アミノ酸 / 顆粒球エラスターゼ / 分枝鎖アミノ酸 |
研究概要 |
これまでの研究で、肝切除に膵を合併切除すると術後肝不全の率が増すことが分かった。これには膵ホルモンの肝再生への関与が考えられており、術後の肝再生の機序と肝機能の維持を検討する必要がある。本研究の最終的目的は、臨床例における肝膵同時切除の切除限界を事前に予測し得る指標の確立、術後の肝不全の予防と管理法の確立である。そこで本年度は、並行して臨床的に肝切除後の肝機能の維持と管理について、術後代謝栄養とサイトカインのコントロールの観点から検討した。 まず、肝切除の11例について、術後の血漿アミノ酸、AKBR、血中アンモニアなどの推移と分枝鎖アミノ酸(BCAA)による栄養管理を検討した。その結果、肝切除後はFischer比の低下とアンモニア高値が特徴的で、これはBCAAの投与で改善したが、蛋白合成能には影響がなかった。また、NPC/Nを160〜200kcal/Nにすると窒素出納が術後早期に改善された。AKBRが0.4以下のCriticalな例では投与によってかえって血中BCAAの逸脱が見られた。 次に別の肝切除患者16例の周術期の炎症性サイトカインの変動を観察し、5日間のUlinastatin投与の効果をSIRS観点から検討した。術後3日目の顆粒球エラスターゼはUlinastatinを投与した群(410.0±30.5g/L)の方がコントロール群(860.4±155g/L)より有意に低かった。IL-6も投与群が低い傾向にあったが、IL-8と尿中trypsin inhibitor(UTI)には両者に差がなかった。 以上より、肝切除後の肝機能の管理と臓器保護に、BCAAによる栄養管理やUlinastatinが有意義であると思われた。この結果を実験群のデータでも比較検討する方針である。
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