研究課題/領域番号 |
13671345
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
藤田 哲二 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教授 (60209062)
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研究分担者 |
今井 貴 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (90266594)
佐伯 知行 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (50256385)
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キーワード | エンドトキシン / 分泌型IgA / 炎症性腸疾患 |
研究概要 |
炎症性腸疾患を誘発したモルモットにおいて、分泌型IgA(sIgA)を浸透圧ポンプを用いて腹腔内投与しその効果を検討した。門脈血エンドトキシン濃度及び胆道系の病理形態的変化に,sIgAの投与効果は認められなかった。その原因として、sIgAの投与方法が考えられる。胆道粘膜上皮や腸管粘膜上皮等の局所においては、sIgAは細菌の吸着を阻止したり、障害を受けた上皮の修復に寄与すると考えられているが、循環血中のsIgAの生理的作用は不明である。循環血中のsIgAも腸管免疫に関与しているとの報告もあるが、実証されているとはいえない。 腸管に侵襲が加わった際に、エンドトキシンが門脈血やリンパ管内に流入する現象はendotoxin translocation(ET)としてよく知られている。ETの初期の段階で胆汁うったいが起こることが、明かになってきた。胆汁うったいに伴い、循環血のsIgA濃度が上昇することを、われわれは報告している。そこで、腸管粘膜の透過性の指標としてエンドトキシン濃度を用いることが適性なのかどうか、また腸管への侵襲時に循環血sIgA濃度がどのように変動するかを確認するために、エンドトキシン濃度とsIgA濃度との相関関係を検討した。その結果、エンドトキシン濃度とsIgA値との間には有意な相関は認められなかった。また低濃度範囲に限ると、エンドトキシン濃度とある種の生体防御蛋白値との間には正の相関が認められた。以上の結果から、今後の検討において、sIgAの投与法は全身投与でなくて、局所投与にすべきであると考えられた。さらに、低濃度のエンドトキシンは腸管粘膜の透過性を必ずしも反映しないことが示唆された。以上の結果を鑑み、平成15年度の研究を進める所存です。
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