研究課題/領域番号 |
13671348
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
逸見 仁道 東邦大学, 医学部, 助教授 (90165514)
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研究分担者 |
有田 通恒 東邦大学, 医学部, 助手 (80307719)
小池 淳一 東邦大学, 医学部, 助手 (30339155)
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キーワード | ミスマッチ修復遺伝子 / hMLH1遺伝子 / 大腸癌 / hMSH2遺伝子 / ヒストンH4 / 細胞株 / 転写活性 / アセチル化状態 |
研究概要 |
消化器癌、特に大腸癌の発癌機構解明についての研究は、近年、遺伝子レベルでの解析により急速に進み、その結果、多くのがん遺伝子やがん抑制遺伝子が同定され、これら遺伝子異常の累積が多段階発癌に重要な役割を演じていると考えられている。遺伝子変異の蓄積を誘発する機構の1つとしてDNA mismatch repair(MMR)systemの異常が関与している。ヒトMMR遺伝子はこれまでにhMLH1やhMSH2など6種が報告されており、その異常は家族性非ポリポーシス大腸癌(HNPCC)や散発性大腸癌や胃癌などの消化器癌や卵巣癌など多くの癌で認められている。現在まで、散発性消化器癌でのhMLH1遺伝子の不活性化機構としてpromoter領域のmethylation修飾(epigenetic modification)が関与していることが報告されている。しかしながら、我々は、遺伝子変異やmethylatiionがないにもかかわらず、タンパク発現のない症例を経験し、その原因究明に興味が持たれた。本研究ではhMLH1及びhMSH2遺伝子を中心に遺伝子発現抑制機構の解明を目的として、epigenetic modification状態、特に、histoneタンパクのアセチル化状態と遺伝子発現の関係を細胞株を用いて明かにすることを目的とした。本年度はhMLH1およびhMSH2遺伝子転写抑制とアセチル化状態との関係の解明に重点を置いて研究を行った。 hMLH1およびhMSH2遺伝子のプロモーター領域を有するreporter gene assayにより、ヒト細胞株6株でそれぞれの転写活性を調べたところ、SW620とcolo320では高発現であり、LoVoとHCT116では低かった。更に、ゲノム上のプロモーター領域のアセチル化状態と転写活性との関係から、ヒストンH4のアセチル化は転写を活性化することおよびアセチル化状態とCpG islandsのメチル化との間に関連性はないことが明らかとなった。今後、転写因子との関連についても検討する必要がある。
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