研究概要 |
胃癌組織におけるCGH分析は、外科凍結標本においては全染色体領域のうち、かなりの多数の領域にDNAコピー数の変化を認め、多種多様なchromosomal instabilityを認めた。高頻度変化領域としては染色体1q,7q,8q,20qのコピー数の増加、16qの欠失を認めた。以上の結果を踏まえ、現在、定量的real timeマイクロサテライト分析法(QuMA)で7q,8q,20q及び16q領域内での複数のマイクロサテライト領域のDNAコピー数を臨床検体を用いて検索中である。DNAコピー数を求めるためのコントロールは今回の結果と従来施行された胃癌のCGH分析における報告例を加味し、DNAコピー数の増加及び欠失をほぼ呈しない5領域のマイクロサテライトマーカーの混合物をpooled referenceとして用いた。更に、ホルマリン固定パラフィン包埋薄切標本1枚中の標的領域に対し、位相差顕微鏡を用いてmicrodissectionを施行し、脱パラフィン及びproteinase消化の後Degenerated oligonucleotide primed (DOP)PCR法を用いてwhole genome amplificationさせることを確立させ、CGH分析にてほぼ新鮮凍結標本と同様の結果を得た。現在、同法を用いて、以前FISH法にて我々のグループで報告してきた早期胃癌におけるchromosomal instabilityを解析中である。
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