研究概要 |
I:対象と方法 平成14年1月末日までに、摘出胆嚢30例、採取胆汁31症例分について下記の方法でHelicobacterの検索を行った。 1.PCR法(Foxに従いprimerC97,C98を用いHelicobacter属特異的rRNAを検索) 2.nested PCR法(Songに従いPrimer EHC-U, EHC-L及びET-5U, ET-5Lによるnested PCR法でHelicobacter pylori genomic DNAの860bp fragmentを検出) 3.培養試験(ヘリコバクター培地;ニッスイ) 4.組織学的検索(過去の症例を含む198例の切除胆嚢を用いてHE染色とギムザ染色、nested PCR法で陽性反応を示した4例ではrabbit抗ヘリコバクターpolyclonal抗体;BO471を用いるSAB法免疫染色を追加) II:結果 培養試験、組織学的検索ともに全ての標本でHelicobacterを認めなかった。 PCR法でも陽性検体は無かった。nested PCR法では9例に陽性所見を認めた(胆汁6例、胆嚢3例)。 III:まとめ 組織学的検査、細菌学的検査、及びFoxに準じたsingle PCR法では陽性例がなく、nested PCR法でのみ数例の陽性例を認めた。この結果より直ちにHelicobacterの胆道内感染があると結論することは出来ない。症例を蓄積し、nested PCR陽性の意義を追求していく必要がある。
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