研究課題/領域番号 |
13671357
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
肥田 仁一 近畿大学, 医学部, 講師 (20238306)
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研究分担者 |
塩崎 均 近畿大学, 医学部, 教授 (70144475)
奧野 清隆 近畿大学, 医学部, 助教授 (30169239)
所 忠男 近畿大学, 医学部, 助手 (30278676)
犬房 春彦 近畿大学, 農学部, 教授 (30223241)
安富 正幸 近畿大学, 医学部, 教授 (60028438)
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キーワード | 直腸癌 / 低位前方切除 / 排便機能 / J型結腸嚢再建 / 排便困難 / 結腸嚢造影 |
研究概要 |
直腸癌に対する低位前方切除術の排便機能はJ型結腸嚢再建(J)を用いることで従来の結腸・直腸(肛門管)端々吻合(ストレート再建)より改善される.しかしJの唯一の欠点に排便困難があり、この原因は結腸嚢の大きさと関係が深く、とくに大きな結腸嚢が排便困難をもたらすことが報告されている.結腸嚢の大きさと排便困難の関連を検討した.結腸の折り返しの長さ10cmのJ(10J)26例と5cmのJ(5J)27例の術後3月、1年、2年の結腸嚢造影所見を比較し、排便機能との関連性をみた.排便機能は術後1年に質問表を使った問診とバルーン排出テスト及び生理食塩水排出テストによる排出能で評価した.正面像で結腸嚢の最大横径はすべての時期で10Jは5Jより有意に大きかった.10J、5Jともに術後1年は3月より有意に大きいが、10Jの拡大率は1.9倍で5Jの1.4倍に比べ有意に大きかった.結腸嚢の最大横径は10J、5Jともに術後1年と2年に差はなかった.側面像で結腸嚢長軸と水平線のなす角度はすべての時期で10Jは5Jより小さかった.10J、5Jともに術後1年は3月より有意に小さいが、術後2年と1年に差はなかった.術後2年の10J4例(15%)に直腸瘤様突出がみられた.排便困難の愁訴は10Jが5Jよりも有意に多く、バルーン排出テスト及び生理食塩水排出テストで判定した10Jの排出能は5Jよりも有意に不良であった.大きな結腸嚢作製でみられる排便困難に術後1年までにおこる結腸嚢の過膨張と結腸嚢長軸の水平化が関与する.排便困難による強いいきみのため術後2年に直腸瘤様突出が出現する.
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