研究課題/領域番号 |
13671361
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
藤井 輝彦 久留米大学, 医学部, 助手 (50199288)
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研究分担者 |
山名 秀明 久留米大学, 医学部, 教授 (30140669)
末吉 晋 久留米大学, 医学部, 講師 (30235840)
主藤 朝也 久留米大学, 医学部, 助手 (50309803)
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キーワード | 食道癌 / protein kinase C(PKC) / β2chimaerin |
研究概要 |
食道癌培養細胞株KE3にprotein kinase C(PKC)のactivatorであるPMAを30nM、1時間投与すると投与24時間後にはcontrolと比較して23%の増殖抑制作用が認められた。この結果よりKE3の細胞増殖にはPKCが関与していることが考えられた。さらにKE3の内因性PKCδはwestern blotの解析では中等度の発現が認められた。従って、KE3細胞においてPKCの中でもPKCδはKE3細胞の増殖に関与している可能性が考えられた。この現象を裏付ける目的でKE3にPKCδ adenovirus(PKCδ AdV)を感染させ、PKCδを強制発現させることによる生物学的効果を検討した。PKCδ AdV感染24時間後にPKCδ蛋白の発現をwestern blotで確認したが、良好な発現が認められた。感染後24時間後にはcontrolと比較して60%の細胞増殖抑制が認められた。さらに、感染後にPMAでPKCδをactivateすると73%の細胞増殖抑制が認められた。以上より、KE3細胞においてPKCδは強い細胞増殖抑制作用を有することが示唆された。今後は増殖抑制のメカニズム、とくにMAPKを中心とした細胞内シグナルの変化を検討していく予定である。 食道癌培養細胞株8種類を使用し、β2Chimaerinの発現を検討するために、RT-PCRを施行した。KE3、KE4、KE5、KE6、KE7、KE8、KE9の7種類の細胞株ではβ2chimaerinの軽度の発現を認めており、切除標本を用いた免疫染色の結果からも上皮細胞の増殖に何らかの関係があるものと考えられた。そこで、β2chimaerinの生物学的機能を検索する目的で現在β2chimaerin遺伝子を組替えたadenovirusを作製中である。また、今後、chimaerin発現と臨床病理学的所見との関係も明らかにしていく予定である。
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