研究概要 |
1)大腸癌細胞に対するアンチネオプラストン(AN)の抗腫瘍メカニズム a. FAC Scanによる細胞周期の解析 A10-IおよびAS2-1はKM12SM,SW620,SW1417,Colo206,HCT116いずれの細胞に対しても1mg/ml以上の濃度でG1期細胞の比率が上昇し,A10-IおよびAS2-1の大腸癌細胞に対するG1休止作用が示唆された.さらに高濃度(5mg/ml,10mg/ml)ではsubG1期細胞(死細胞)が認められた. b.細胞周期調節因子発現の検討 KM12SMおよびHCT116細胞を0,200μg/ml,500μg/ml,2mg/ml,5mg/mlのAS2-1で0,4,8,16,24時間培養し,細胞内cyclins, cyclin dependent kinases(CDKs),p16,p21およびリン酸化Rb発現をwestern blotにより解析した.AS2-1は両細胞に対しG1期を制御するcycline D,EおよびCDK2,4およびリン酸化pRb発現を濃度・時間依存的に抑制し,p16およびp21発現を濃度・時間依存的に増強した.一方,AS2-1によるG2期制御因子であるcyclinA,Bおよびcell division cycle(Cdc)2の発現変化は軽微であった. c.アポトーシスの誘導 高濃度(5mgから10mg/ml)のA10-IやAS2-1処理により認められるsub G1期大腸癌細胞(KM12SM, HCT116)は大部分がTUNEL陰性の非アポトーシス細胞であった.しかし,10mg/ml以上の高濃度AS2-1処理では部分的にアポトーシス細胞が認められ,DNAラダーも検出可能であった.すなわち,アンチネオプラストンAS2-1が高濃度になると何らかのアポトーシス誘導機構が活性化されたと考えられた.
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