研究概要 |
1)大腸癌細胞に対するアンチネオプラストン(AN)の抗腫瘍メカニズム a.細胞周期の解析 A10-IおよびAS2-1はKM12SM,SW620,SW1417,Colo206,HCT116いずれの細胞に対しても1mg/ml以上の濃度でG1期細胞の比率が上昇し,A10-IおよびAS2-1の大腸癌細胞に対するG1休止作用が示唆された.さらに高濃度ではsubG1期細胞(死細胞)が認められ,G1期細胞比率は低下し,HCT116細胞(wild53)ではG2期細胞比率が増加した. b.細胞周期調節因子発現の検討 KM12SM(mutant p53)およびHCT116細胞を0〜5mg/mlのAS2-1で0〜72時間培養し,細胞内cyclins, cyclin dependent kinases(CDKs),p16,p21およびリン酸化Rb発現をwestern blotにより解析した.AS2-1は両細胞に対しG1期を制御するcycline D, Eおよびリン酸化pRb発現を濃度・時間依存的に抑制し,p16およびp21発現を濃度・時間依存的に増強した.一方,HCT116細胞ではAS2-1によるG2期制御因子であるcdc2の発現現弱が認められた. c.アポトーシスの誘導 高濃度(5mgから10mg/ml)のAN処理により認められるsub G1期大腸癌細胞は大部分がAnnexin V陽性のアポトーシス細胞であった.すなわち,アンチネオプラストンAS2-1が高濃度になると何らかのアポトーシス誘導機構が活性化され,G1期細胞休止からアポトーシスの誘導が示唆された. 2)大腸癌肝切除後のANの効果(無作為割付け比較試験) AN群:22例,非投与群:25例時点の中間解析では,両群間に再発率の差異は認めないものの,AN群の生存率は有意に高率で,再発例に対する外科治療の頻度が高率である.
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