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【目的】制癌剤投与により重篤な腸炎などの消化器症状が発現することがあり、付随して増大する消化器毒性の発現メカニズムを解明し、副作用を軽減することは臨床的に極めて重要である。TS-1はFT、CDHP、Oxo(オタスタットカリウム)の三成分を含有する制癌剤であり、消化管に高濃度に分布したOxoが5-FUのリン酸化酵素を可逆的に拮抗阻害して消化器毒性を阻害する。本研究ではLactulose/Mannitol(L/M)経口負荷試験を用いて制癌剤による消化管粘膜障害を実験的に分析し、さらにOxo配合による毒性軽減効果を評価した。【方法】ラットに薬剤を14日間投与した後、L/M水溶液を与え、尿中排泄量を高速液体クロマトグラフィー法で測定した。【結果】制癌剤による消化管粘膜障害:尿中L/M比はHCFU:4.43±0.37、5'-DFUR:3.38±0.12でありcontrol:1.80±0.25に比して有意に高かった(p<0.01)。5-FU、UFT投与後のL/M比は明らかに低値で、消化管粘膜障害は比較的軽度と考えられた。光顕的分析で、薬剤投与による小腸絨毛上皮の短縮、糜爛とCD44蛋白発現の減弱が認められた。Oxoによる毒性軽減効果:Oxo配合群(FT+CDHP+Oxo)のL/M比は0.18±0.08であり、Oxo非配合群(FT+CDHP):0.54±0.55に比して明らかに低く、Oxoによる粘膜障害の軽減効果が認められた。【まとめ】1)制癌剤投与によって消化管粘膜透過性が亢進し副作用発現に関与すると推察された。2)Oxoは消化管組織に分布し粘膜障害を軽減することが証明された。3)L/M消化吸収試験により消化管粘膜障害の予測が可能で、制癌剤の選択や至適投与量の指針として臨床的に期待できる
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