胸腔鏡を用いて低侵襲的に心房細動を根治するための実験を重ねている。具体的には、胸腔鏡下で心外膜アプローチ法により赤外線凝固および凍結凝固プローブを用いてMAZE手術あるいは肺静脈周囲を隔離することを予定しているが、今後の検討によっては他の心房領域においても隔離術を行うことも想定している。この低侵襲的な心房細動根治療法の実現に向けてこれまで実験及び臨床的検討を重ねてきた。赤外線凝固に関しては、胸腔鏡に用いられるように斜めからの照射が行えるような曲がりのロッドと斜めにカットされた先端チップを作成し次年度は動物実験を行う予定でいる。凍結凝固に関しては胸腔鏡用凝固プローブ第2世代が完成し、第3世代の改良型を現在作成中である。これも豚を用いた動物実験を行う予定でいる。臨床例においては開胸下ではあるが凍結凝固を用いた心外膜アプローチによる心房細動治療(左房切開をおかないために大動脈遮断時間を延長しないのが特徴)を既に6症例で行った。これらの症例においては、術後の電気生理学的検査で貫壁性の伝導途絶が得られており、1例心房粗動となったものの全例心房細動発作から解放されている。次年度は先述した如く豚での胸腔鏡下で赤外線および凍結凝固を併用したMAZE手術または肺静脈隔離術および臨床における赤外線凝固器使用を実行する予定でいる。臨床においては、比較的安全で、肉眼的にもその効果が直接確認できる右心房から行い、その効果を電気生理学的に確認して行きたいと考えている。
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